目が覚めると全てが終わっていた。平和な村に押し寄せた人間狩りどもの戦車たち。俺は母親と他の雇われ賞金稼ぎたちと一緒にそいつらと戦った。
俺の母親がわりだった女、不死身の女ソルジャー・マリア。俺のソルジャーとしての師でもあった。
そのマリアが不死身でもなんでもないただの人間だったのを、目の前で燃え滓になって行く姿を見せられ思い知らされた。俺は燃え尽きていく母親を目の前で見ながら、泣くことさえ許されなかった。俺も同時に燃え尽きようとしていたからだ。
涙を流すどころか全身の血が、水分が、一瞬で蒸発し、燃え滓になって行くのを感じていた。はずだった。
しかし目が覚めた。俺は生き延びた。
恐らくあの灼熱の炎に立ちはだかってくれたマリアが、俺の命を拾ってくれたのだろう。
全身は未だに灼熱の炎の中にいるような痛みを感じながら、奴を思い出した、人間狩りバイアスグラップラーを率いる首魁テッド・ブロイラーを。
青いジャンプスーツに背中に背負った巨大な火炎放射器、道化のようなメイクに真っ赤なモヒカンの巨漢のミュータント。
しかし一番特徴的なのは、あのフザけたメイクでも、名の由来となった火炎放射器でもない。あの目だ。凶暴と狂気で輝くあの目。
俺はあの目に睨まれながら、怯え、悲しみ、やっと泣いた。
誰かが俺の名前・コルト―を呼び、眠れと言った。女の声だ。
その声に安心を覚え、俺の怯えは少し和らいだ。しかし全身は炎に包まれたように熱く、俺を眠らせてくれなかった。しばらくするとその苦痛が怒りに変わっていき、また俺は意識を失った。
再び目が覚めると、少女がいた。
年齢は15才くらいだろか、多分俺と同じ年くらいだろう。美しくはないが愛嬌のある顔に似合った笑顔をして俺を見ていた。
彼女はイリットと名乗り、俺が燃え滓のなりぞこないになった後、何があったかを教えてくれた。(何が起こったかは十分に予測はついていたが)
奴らは邪魔者を燃え滓にした後、村の若者だけを戦車に積み込み―いつも通りの人間狩りを行なって、村を破壊し去っていった。老人たちと、上手く隠れることが出来た若者だけが生き残った。
生き残ったイリットは、雇われた賞金稼ぎの中で、俺だけが生きているのに気が付き、看病してくれた。それが三日前の事だった。二人の女が俺の命を拾ってくれた。