2012年5月18日金曜日

メタルマックス2: リローデッド―脳内補完Replay・Part19―

俺達は湖の南の地域にやって来た。
人間狩りの本拠地を探りながら、ここまでやって来たが、未探索のこの地域にそれは存在するはずだ。この地域に賞金10万を超えるクラスがゴロゴロいるのも恐らくそれが原因だろう。
俺達は酸性雨が一年中降る谷・レインバレーにある街メルトタウンに辿り着いた。と、その瞬間、突然の轟音。
同時に地面の泥と酸性雨の水たまりが、リズムよく跳ね上りながらこちに向かってきた。そして戦車に達するとそれは、装甲タイルを派手に吹き飛ばした。機銃かバルカンで銃撃されている。
気がつくと上空に轟音、戦車並みのデカさのヘリがホバリングしていた。雨の音と谷の闇に紛れ、上空から一気に急降下して奇襲をかけてきたのだ。
ヘリにはニヤついた笑顔がへばりついていた。見覚えがあった。賞金首ホバリング・ノバだ。
犬と戦車並の装甲を持つ対戦車ヘリが組み合わて作られた生体兵器だ。
SナイトSが連続して砲撃した。奴はCユニットの性能もあり四発は連射できる。が、ホバリング・ノバは、素早く俺達を中心に円を描くように旋回し砲弾を躱す。一発、二発、三発、暗い谷の闇の中に消えていったと思うと遠くで爆発が上がった。
しかし四発目は奴を捉えた。が、バルカンが唸ると砲弾は奴の鼻先で爆発し、奴のニヤけたバカ面を鮮明にしただけだった。
モーゼルが戦車に搭載された兵器を一気に全部ぶっ放した、が結果はまるで同じだった。機銃が奴の分厚い装甲タイルを少し、ささやかに吹き飛ばしただけだった。同時にポチも吠えながら広範囲を捉える超音波兵器を放っていた。流石に見えないものは避けられないらしく、それには装甲タイルを少々派手に吹き飛ばしたが、致命傷には程遠い。
俺は煙幕弾をばらまきながら、指示を出した。街に逃げこめ。
奇襲され肝をひやしたが、こちらも十分に威力偵察が出来た。この装備では勝つのは難しい。ならさっさと逃げだすに限る。
俺はバイクを全速力で街のゲートに向け走らせた。モーゼルとSナイトSもそれに続いた。ポチは既に街に逃げ込み、入り口でホバリング・ノバに吠えていた。
ホバリング・ノバは煙で俺達を見失い、苛立た様にロケットランチャーの雨を俺達が先ほどいた所に降らせていた。
対空装備が必要だ、それもたっぷりと。それさえ用意すれば、あのニヤけたバカ面に吠え面を欠かすのもさして難しい話じゃない。
俺は、北の山の中の町でカッパラッた対空戦車を思い出した。使い道が無かったので、マドのガレージに放り込んだままだったが、カッパラッたかいがあった。だがそれだけでは火力不足だ。
SナイトSが言った。
「ロケット弾を使おう。普通より軽い弾頭を使って、倍の炸薬を使う。普通の弾頭より砲口初速が早いから、迎撃も避けるのも不可能だ」
俺は少し考え答えた。
「そいつを作ってくれ、たっぷりと。レミントンのおっさんとガーランドを連れてってくれ。俺はモーゼルとマウザー姐さんとで、あの対空砲の戦車を仕えるよう改造してくる」
対空砲の戦車、俺はその速射ぷりからラストマン・スタンディング―LMSと愛称をつけていた。
LMSを鉄の穴で、武装を積載できるよう改造しさらに、エンジンを2つ積めるようにした。あとは搭載するエンジンに各種の武器をそこら中の町で買い集め、更に改造し搭載した。ついでにレッドブル(Rウルフ型)も大幅に改造しダブルエンジン仕様にし武装を強化した。
それが終わる頃には、大量のロケット弾をSナイトSがバスに搭載し不発弾の館から帰ってきた。
ロケット弾を戦車に積み替え準備は整った。

再び俺達はメルトタウン付近へ向かった。ついて直ぐに奴は同じように奇襲を掛けてきた。俺は対空戦車―LMSに乗り込んでおり、対空砲を奴に向けて撃ちまくる。
奴はその素早い速射に回避が追いつかず装甲タイルを散らした。ほぼ同時にモーゼルとSナイトSもロケット弾を発射した。ホバリング・ノバはそのロケット弾をまともに受けよろめいきながらも、態勢を建てなおすと、奴は弧を描くように旋回しながら、ロケット弾の雨をこちらに降らせきた。
俺達は避けるが出来なかったが、大幅に強化したコチラの装甲にとっては、酸性雨とさして変わらない程度のダメージだった。あとは体力勝負だ。
こっちの攻撃を受けた様子を見て、奴の顔からはっきりとニヤけたバカ面が消えて、怒りの表情に変わった。
ロケット弾、音波攻撃、速射砲を撃ちまくった。奴の装甲タイルが徐々に吹き飛び、そこら中から壊れたパーツが煙をあげ、飛行スピード目に見えて遅くなり逃げることすら叶わないと知った時、怒りの表情が、死への恐怖の表情に変わった。
それを確認した俺は、搭載されたバルカンを一斉に掃射した。奴は目の前に現れた弾丸の壁にぶち当たり、そのまま落下した。