2012年5月8日火曜日

メタルマックス2: リローデッド―Replay・Part3―

RLの仲間を集めなければならない。
俺は戦車には乗らないが、仲間には戦車乗りと戦車を早く加えたい。
移動も楽になるし、はやり分厚い装甲とデカイ大砲と雑魚を薙ぎ払う機銃は、多くの問題を解決してくれるだろう。
しかし戦車乗り探しには、あてがあるにはあった。
イリットの祖父が、俺達と一緒に戦った 戦車乗り 、名はガルシアだったか?―が乗っていたバギーを修理しているのだ。
こいつを譲ってもらい、戦車がない戦車乗りを釣ろうという案だ。
イリットの祖父はメカニックでナイルという。ナイル爺さんはパーツを手に入れるために東の砂漠を縦断してエルニニョという町に向かったという。東の砂漠には勿論モンスターが出るが、数も少なく弱いものばかりなので、俺が単独で旅したとしても大した問題はない。
ただしスナザメと呼ばる賞金2000Gのモンスターいる。こいつは戦車並みのデカさの鮫で砂漠を泳いでいる。こいつに出会ったら今度こそマリアの元に行くハメになる。
しかしデカイ背ビレを出して砂漠を移動するので、見通しのきく砂漠では気をつけてさえいれば、こいつに出くわす心配はまずなかい。
この砂漠を俺はそれなりに安全に移動できるだろうが、年寄りのメカニックにとっては危険な旅と言えるだろう。
俺はイリットから衣類と武器に食料と水とを譲ってもらい、ナイルを追って砂漠に旅立った。
武器は、パチンコ一つ。もちろん子供のおもちゃよりはもっと強力なモノであり、適切な場所にさえ命中させれば、ココらへんに出没するモンスター程度なら一撃で殺傷す事が出来る。
一人で旅をするのは初めてだ。マリアの庇護がない寂しさや不安よりも、産まれて初めての自由である事の高揚感がそれに勝った。
俺は何度かモンスターに襲われ、戦った。
全くの一人で戦うのは初めてだったが、テッド・ブロイラーとやりあった事を思えば何の恐怖も感じなかった。
マリアに教えられた通り、俺は戦った。かすり傷程度は負ったが、多少の戦利品と高揚感とともにエルニニョに辿り着いた。
しかし辿り着いたエルニニョは、最悪の町だった。俺の満足感は、そのまま怒りに変わった。エルニニョにはそこら中にバイアスグラップラーがいた。
ナイル爺さんを探しながら、町の様子を探る。どうもこの町は、バイアスグラップラーの下っ端共に支配されているようだ。
流石にデカイ町だけあって(マドの村よりは)、武器も防具もマトモなものが売っていた。
有り金を殆どはたくハメになったが、ショットガンを手に入れた。大破壊前の世界のモノの粗悪なコピー品だが、ポンプアクション式で頑丈の作りだ。散弾をバラ撒くにはそれだけで十分だ。
ショットガンを手に町をぶらついていたが、どうやらナイルの爺さんはとは入り違いになったようだ。
町で一番目立つ高いビル。そこだけ見物して帰ろうかと思いビルに入ろうとすると、バイアスグラップラーのチンピラが突っかかってきた。逆らえるもんなら逆らってみろと、バイザー越しに馬鹿にしきった目で俺を見ていた。
ショットガンを使いたくてウズウズしていた俺は、そのバイザーに散弾をぶち込んでやった。
奴の息を感じるほどの近さだったので、散弾は大して散らばりもせずバイザーをぶち破って、奴の顔面をメチャメチャにした。俺はたっぷりと返り血を浴び、後悔したがもう遅い。
他のグラップラーどもが集まってくるかと思ったが、何も起きなかった。
近くにいて女にちょっかいを出していたグラップラーがこっちをチラリと観たが、どうでもいいように女の方に視線を戻した。
こんなことは日常茶飯事で、重要な人物でもない限り奴らにとっては仲間が死のうがどうでもういいだろう。多少拍子抜けしその場を去ろうとすると、俺に声を掛けてきた男がいた。
そいつは俺を気に入ったといい、あって欲しい男がいるという。グラップラーをブチ殺したガキを気に入るのなら、会う価値は有るだろう。
そいつにつれられ、あるテントに隠された入り口から、地下に入った。
そこには、疲れきった中年男がいた。口ひげと俺と同じように怒りに満ちた目が印象的だった。
この町にもやはりグラップラーどもを憎んでいる連中がいた。
その男はリッチーと名乗り、グラップラーどもを5人殺せば俺を信用するという。
お楽しみはあとにとっておくとして、俺はナイルの爺さんを追って再び砂漠を渡った。
マドの村に戻ると、ナイルの爺さんがバギーを修理していた。
爺さんは俺を見るともう少しで修理が終わるから、こいつを持って行けという。爺さんは俺のためにこいつを修理してくれた。
何も役に立たなかった俺たちに礼をする為に、爺さんは危険をかけ砂漠を渡りバギーを修理してくれた。
翌日、爺さんに礼を言い、俺はバギーに乗り込んだ。爺さんがバギーに愛称をつけてやれという。
俺はふと思い出した。子供の頃、よくマリアが遺跡から拾ってきたディスクを見せてくれた。
それは物語になっている映像で、大破壊前に全て作られたものだ。映画と言われているものだ。
マリアは映画が好きで、よく映画が入ったディスクを遺跡から回収してコレクションしていた。俺もそれを見るのが大好きだった。
バキーに乗り込み、マリア達を思い出しながら一つの映画を思い出した。その映画は荒くれ者どもが、仲間と信念の為に、有力者に逆らい大銃撃戦をやらかし全員死ぬのだ。
俺は爺さんに言った。「こいつの名前はワイルド・バンチだ」
俺はワイルド・バンチのエンジンをかけた。